上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
昨日は子供と一緒に21:00過ぎに寝てしまった。
朝携帯の目覚ましで目を覚まし、画面を見たら、
大人クラスの生徒さんからメールが届いている。

「ベジャールが亡くなったそうですね」

・・・胸が一瞬ズキッとした。

何だか身内の訃報を聞いた時のような・・・
・・・というのはとてもおこがましいが、
バレエ界に大変な事が起こってしまったような気がした。

モーリス・ベジャール。
私が踊っていたバレエ団とは切っても切れない存在の偉大な振付家。
古典好きの私は「踊れたらいいな」位の感覚だったが、
「ベジャールの作品が踊りたくてこのバレエ団に入った」
という人は同期の中にもたくさんいた。

一番たくさん踊ったのは『ドン・ジョバンニ』。

実際は存在しないドン・ジョバンニを惹きつける為に
繰り広げられる踊りの中のコケティッシュなお尻を出したポーズは、
何ともいえない可愛さ。
よくもまあ、こんなポーズを考えつくもんだ!!!と思いつつ、
自然に表情が作れた楽しい踊り。

一番踊っていて気持ちよかったのが『火の鳥』。

入団した4月に、先輩達が東京文化会館で踊っていたのを初めて観た。
「ジョルジュ・ドンの最後のボレロ」の時に同時上演されていて、
勿論ボレロも素晴らしかったが、
私はこの『火の鳥』を見たくて毎日上野に通った。
初めてキャスティングされたときは嬉しかったなあ。
こんなに音楽と一体になれる振付ってあったんだ・・・と、
踊りながら鳥肌が立った。

一番衝撃的だった『春の祭典』。

きっと観るものとしても衝撃的であることは間違いないが、
踊るものとしてもものすごい衝撃を受けた作品。
あのカウントをとりにくい音楽の
一拍一拍に意味がある振りがつけられていて、
最初は「1・2・3・4・5・・・」と数えながら踊っていたが、
踊りこむうちに自然に身体が動くようになる・・・
まるで作品のテーマである本能に突き動かされているかのように。
そして何回踊っても、踊る度に身体中の筋肉痛は凄かった・・・(-_-)。

そして一番思い出深い『M』。

私が在籍しているタイミングで、
ベジャールの新作振付に立ちあえた幸運。
しかも「鹿鳴館の貴婦人」という4人だけの役だったので、
「あなたはここ」「あなたはここ」と
ベジャールさんに手を取ってもらった時は嬉しかった・・・
(←ただのミーハー?)

ベジャールは一見怖そうな印象だが、普段はとても優しい目をしている。
ところが振付が始まると、一変して鋭い目になり、
空気が張り詰め、ダンサー達も自然にその目で動かされていく。
こんなにすごい目を持った人には、
もうこれから一生出会うことはないのだろうな・・・と思う。

そして、この作品を踊って、私はバレエ団を辞めた。
退団する前年8月に文化会館で初演。
初日の終演後、レセプションパーティーの途中で抜け出して、
就職が決まった会社の内定式に遅刻して出席したっけ。
その年の9月~11月まで3ヶ月のヨーロッパツアーに参加。
『M』の音楽が流れる楽屋で、卒論を書いていた。
そして3月の東京での凱旋公演を終えて、
私のバレリーナ人生もおしまい。
最後の出番が終わった舞台袖では、
柄にもなく涙が止まらなくて恥ずかしかった。

ベジャールの作品はどれも、踊る度に自分の中で何かが変化する・・・
というか、一皮向ける・・・というか、成長する・・・というか、
とにかく何かが身体の中に落とされていくような感覚があった。
振り付けに魔法がかかっているかのように・・・???

私のような者が偉大なベジャールの思い出など語るのは、
何とも畏れ多い話しだが、
こんな無名の若い(若かった)ダンサーにも、
物凄いインパクトと影響を与えたのだから、
世界のバレエ界に与えた影響は計り知れないものなのだと思う。

私の中でも、バレエ界の中でも、
一時代が終わったのだな・・・という虚無感の漂った一日。

心より、ご冥福をお祈りいたします。

スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://balletclass.blog48.fc2.com/tb.php/155-887fe659
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。